食べものや飲みもの、唾液が誤って気管に入ると、口の中の細菌が肺に侵入して誤嚥性肺炎が起こる恐れがあります。
誤嚥性肺炎は高齢者に多く、命にかかわることもあるので、口腔ケアで口の中を清潔に保つことが重要です。
私たちが食事をするとき、口から入った飲食物や唾液は、のどから食道を通って胃へと送られます。この際、食道の隣にある気管に飲食物や唾液が入り込まないように、気管の入口にある喉頭蓋という「ふた」が反射的に閉じるようになっています(図)。
しかし、この「ふた」がうまく閉まらずに、飲食物や唾液が誤って気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(吸引)」と呼び、嚥下機能や、誤って気管に入った異物をせき込んで排除する機能が低下することで起こります。
そして、飲食物や唾液に含まれる細菌が肺まで到達して炎症が起きた状態を、「誤嚥性肺炎」といいます。
口の中を清潔に保つこと(口腔ケア)が大切
誤嚥には、食事中に飲食物をうまく飲み込めずにむせるなどして起こる顕性誤嚥と、知らないうちに唾液と一緒に口の中の細菌を飲み込んでしまう不顕性誤嚥があります。不顕性誤嚥は食事のときは問題なく飲み込めている人でも、眠っているときに誤嚥を繰り返している場合があります。高齢者の誤嚥性肺炎の多くは、不顕性誤嚥によって引き起こされると考えられています。入れ歯の洗浄が不十分だったり、虫歯や歯周病があったりすると、口の中の細菌が増殖して、誤嚥をしたときに肺炎が起こりやすくなります。そのため、誤嚥性肺炎を防ぐためには、毎日の口腔ケアで口の中を清潔に保つことが重要になります。また口腔ケアにより口腔や咽頭の細菌数が減少し、食欲が出て栄養状態が改善し免疫力の向上にもつながるとも考えられています。
口腔ケアチーム